

10月に出願校を決定するべきだという内容を書きましたが、11月は私立医学部であれば願書は請求できる時期ですから、必ず手に入れましょう。連載の第5回がなぜ、このようなタイトルなのか疑問に思う現役生なども多いので説明しておきます。まず、私立医学部の願書には志願理由を記入する部分があり、しっかりと書かねばならないケースが多いのです。さらに理由ではなく自己適性を書かねばならぬケースもあるからです。
ペーパーテストだけではなく、小論文や面接を重視している医学部では志願理由が重視されます。そのような一生を決めかねない重要書類を一夜漬けやそこらで書くこと自体が間違っていますし、11月の段階で願書を書きながら医師としての志望理由を明確に持つ作業を行わなければ、面接に進んでも失敗をしてしまう可能性が高くなるでしょう。
願書は住所や名前だけではなく、非常に多くの項目を書かねばなりません。そこには社会人として活躍していった場合に重視される適正な手続きが存在するのです。将来、医師として適正な手続きに則り就業していく際には当然の事になります。
どのような将来像を持ち医学部の門を叩くべきかを自ら考えながら、願書を書くことは、直前期に学習をスムーズに進めていく上で重要な戦術になるのです。
残すところ年内は60日となってきます。この60日のうち11月は医学部合格へ向けて一通りの学習が終わっているかどうかの確認となります。現役生の場合であっても、11月中に受験科目の必要事項を網羅的に学習し終わっているかどうかが合否を左右するのです。
この時期で、理科のⅡの分野が終わっていない、数学ⅢCの分野が終わっていないなどということは有り得ないのです。一通りも見ていないのであれば、無理やりにでも見ておく必要があります。そうしないと、どんなに直前期に演習を積んでも無駄に終わります。
医学部入試の場合、英語重視の傾向になっている大学も多いとはいえ、配点を考えれば圧倒的に理系科目が重要なことは言うまでもありません。基礎事項をつかんだら、一心不乱に過去問の対策に突き進んでいかねばなりません。待ちの姿勢からは何も生まれず、攻めの姿勢のみが受験生を救うのです。
特に入試の日程などを考えれば、受験の日程が早い順から研究していく必要があり、志望大学がはっきりしている場合は同時に深く出題傾向などを探っていく必要性があります。そのためにも今まで予備校で受講してきたノート、資料集、参考書、問題集などは良きパートナーになっていなくてはなりません。
この時期、すでに学習アイテムとともに過去問と会話できるくらいの状況が理想です。ただし、なかなかその域に達することは難しいものです。したがって、医学部専門予備校のスタッフなどにアドバイスを求めるのも一つの手でしょう。特にここまで一緒に指導してくれた先生がいるのならば、11月の30日間でどこまで自分を追い込んで学習を定着させるのか計画を立てたものを見てもらいアドバイスしてもらいましょう。そうすることで無駄を省き、効率性を高めた学習が可能になります。
受験突破の良きパートナーが見当たらないという諸君は、学習時間そのものを増やすしかありません。
この時期までくると受験生のいるご家庭では、お子様方の成績の資料を数多くご覧になっていることでしょう。どうしても気になるのが模試の判定ですが、そもそも一般的な学力診断として機能させるべき模試と入試では内容も難易度も対象も異なります。したがって、よい場合は「よかったね。」でよいでしょうが、悪い場合は「なにをやっているんだ。」と受験生を責めることは避けるべきなのです。
それよりも、受験生として熱心に勉強はしているのだけれども分析ができないというお子様は思いのほか多いのです。そもそも、社会経験がないわけですから大人のような弾力的で合理的な分析力は備わっていません。そこで、保護者の方の登場となるわけですが、受験経験もありお子様方より熱心な保護者の方であれば、模試の内容を分析してあげて、補強ポイントを指摘してあげるべきです。保護者として本人の悩んでいる部分をわかっているし、共感もしているから一緒に乗り越えていきましょうという姿勢を見せてあげるのです。
そうすることによって、受験勉強からの孤独感も和らぎ、精神的に本人が安定していけば言うことなしです。保護者として目標を明示してあげること、短期的にクリアすべき内容を指示してあげることは大変効果的です。しかし、一方でお仕事が忙しくケアしてあげられないケースもおありでしょうから、そのような場合は予備校の先生や高校の先生などに頼り、本人への指摘とアドバイスを依頼してください。保護者からのアプローチを指導側はより一層真摯に受け止める傾向にありますから、本人への援護射撃をしてあげてください。