

医学部の定員の流れを見れば、医師不足解消の名のもとに2007年の7625人から増加し続け、2011年では8923人となっています。1298人の増加を端的に考えれば、2007年当時の各大学定員100名程度をあてはめた場合、13校分の医学部ができたことと同じことになります。
したがって、当然以前と比べれば入学しやすくなりましたし、国公立・私立とも医学部へ進学するチャンスは増加していることになります。確かに大学病院へ勤務医を定着させよう、地域の中核病院などに医師を確保しようと地域枠などへ定員を配置していることも多いのですが、単純に医学部の定員が増加したことは事実ですし、チャンスは広がったと思います。
但し、私立大学の医学部の場合は、以前よりも成績の上位層が国公立大学へ進学することも多くなってきているわけですから、極端に申せば偏差値順に玉突きのような手続きの動向が顕著に見受けられるようになりました。従いまして、国公立前期の発表、後期の発表後に私立の繰上りの連絡が来ることも多く、依然と比べれば私立医学の学費の負担が減ってきていることもあって、手続き率は高く、いわゆる歩留まりが高くなっている傾向にあると入試担当者たちも話してくれています。
国公立大学の場合は、センター試験と個別試験とのバランスがありますが、やはりセンター試験での失敗は合格するためには避けなくてはなりません。また、私立の場合でも1次試験で合格が出なければ、繰上りの見込みすらありません。競争率の高い大学ではボーダーライン上に受験者が並び1点で15位~20位も異なるケースも多いわけです。
医学部の定員は増加しましたが、ぎりぎりのラインでは同レベルの学力を持った層が以前よりもひしめき合っていると考えることが自然で、そこをクリアして合格にたどり着くことは大変であることに変わりはありません。
いかに合格のボーダーライン上から浮上するかは、日ごろの努力もさることながら合格したい大学に対する早期のアプローチが大切であることは言うまでもありません。過去問の研究もそうですし、実際に進学した場合のイメージを形成しておくことも重要でしょう。
8月は夏期講習など夏の勉強の中心となる時期です。ここでは模擬試験があったり、夏の疲れも出てきたりと大変でしょうが、最も重要なのは自らが選択した学習を貫徹することになります。
夏期講習の時点で、十分すぎるほどの学力が身についたと実感できる医学部志願者は実はそう多くはないのです。なぜならば、偏差値60以上という成績を残している受験生はそう多くないのです。偏差値60以上は統計学的に考えれば全体の受験生の16%程度に過ぎません。ですから、成績が伸びていない場合でも焦る意味はないのです。
したがって、夏期講習会の授業を中心として予習・授業・復習といった一連の流れをしっかりとこなす。また、自分の決めた参考書・問題集を夏休み中にきっちりとこなす。計画性も重要ですが、とにかく決めたことをやり通すという信念が重要です。
医学部を目指すみなさんは、将来医師として活躍しようと考えている人たちでしょう。医師となり患者さんに病気の治療を諦めろというのでしょうか?きっと、頑張るようにいうはずです。従って、自らが頑張るべき夏休みは諦めることなく勉強をするのは当然なのです。
特に基本事項が整理できていない教科では、教科書レベルの基本的な内容からしっかりと身につけていくことが重要です。数学の計算力が不足していれば、毎日10分~20分程度、問題集を使用して計算力を上げるように努力し続ければよいのです。英語が苦手であれば、文法事項を中心に知識を整理して、習った英文を音読するなど地道な努力を続けましょう。
そうすれば、きっと9月、10月、11月と学習の成果は見えてきます。というか見えてくるように夏休み努力をしなければ、医学部合格はありえません。自分の決めたことは遂行するという強い実践力が勝敗を決するのです。
数学Iは高校数学の基礎です。こう書き出すと、「ここで詰まるとこの先は厳しい」と思われがちですが、実際は違います。数学は「正しく理解した」の積み重ねが大切な科目です。ここでは先々の受験を視界の目標に据えて話をします。