

いよいよ6月となり、受験生にとっては準備に6か月しか残っていない時期になりました。5月は全国模試が実施され、受験した方も多かったのではないでしょうか? 模試の結果そのものを気にしすぎることもあるのでしょうが、気にすることはありません。どちらかというと自分の出来なかった点を分析し、反省をすることが重要です。
高卒生の場合は、後がないという気持ちになりがちですから余計に冷静になって分析してみてください。例えばセンター型のマーク模試があります。点数がよければよいのですが、今年受けた本試験と点数があまり変わらず、実力が伸びていないと嘆く保護者や学生がいます。しかし、よく考えれば1月に受験してからマーク型の訓練をしてきたのでしょうか?
恐らく5月まで実施していない方がほとんどでしょう。1月の直前の訓練を十分に積んできた時期と点数があまり変わらないのであれば、むしろ実力は伸びていると考えるのが自然です。どうしても点数が伸びないことが気になるのであれば、苦手な科目、分野を設問ごとにスライスして、センター試験の本番前まで毎日、過去問などを使って訓練し続ければよいのです。
これと似ているのが過去問の研究です。夏期講習までは基礎をしっかりと勉強する。それは受験勉強における王道です。但し、高卒生の方は既に受験を経験しているのですから、自分の受験する大学に関しては、ガンガン問題を解くほどではないにしても、出題の傾向や内容を分析して頭に入れておく作業程度はすべきです。現役生の場合は、まだ部活をしている方もいるでしょうし、何となく医学部受験に関してピンときていないかもしれません。しかし、あと6ヶ月も経てば必ず過去問は研究しなくてはならないのです。したがって、6月に自分が目指す医学部がどのような問題を出すのかを知ることはとても大切なことなのです。
近年は大変な医学部人気で、2013年私立大医学部受験者の人数は延べ人数で9万人を超えています。現実的な定員は29の私立大学の合計で約3,400名ですから、大激戦です。医学部受験生には準備しすぎるという言葉は無縁なのです。私自身、大学の担当者の方々とよく意見を交換させてもらいますが、医師国家試験の流れが思考力を重視する方向に向かっているため、思考力の高い学生が欲しいという声をよく聞きます。そんな中で、昨今の医学部人気で受験者が増えるのは有難いが、入試の得点状況を確認すると、そもそも学力不足、研究不足で医学部受験をしている学生も相当存在するという話です。大学側が基本的、標準的な問題を用意しているにもかかわらず、全く得点できていない受験生が多くいるというのです。これは、大学入試を目指していながらも、常識的な部分を持ち合わせていない受験生も多くいるということになります。そんな実力不足の受験生は、恐らく自分がどのレベルまで到達すべきなのかということをあまりに知らないまま、漠然と勉強をしてきたのではないかと思えてなりません。
私も毎年多くの医学部受験生を指導していますが、とにかく失敗する生徒や保護者は道具にこだわります。つまり、極端に勉強法にこだわります。また、医学部合格に対してショートカットできる方法が存在するとも考えます。さらに悪い場合は、成績が伸びないことで受験生本人や保護者の思考が間違った方向にあっても、それを反省したり修正したりすることはほとんどありません。このタイプの受験生は、自分で思考しないので残念ながら高確率で失敗します。さらに言えば、医学部が欲している人物ではないことも多いように感じます。
夏期講習でしっかりと実力を伸ばすためにも、この時期に過去問を見て、自主的に研究することは重要です。地図で目的地を確認してから出かければ、無駄が省けます。過去問研究は地図で事前に目的地を確認することと似ているのです。この夏は、知識を詰め込むのは当然ですし、同時に思考力もつけなくてはいけません。模試を分析すること、過去問で傾向を把握しておくことで夏期講習の成果は数倍になります。しっかりと勉強をして医学部が求める知識と思考力を身につけてください。